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『 災厄の牛 』
文章:梟
挿絵:雁
あたしは半妖精(ハーフエルフ)のエフィン。ある日、あるとき、エルフの娘が人間の男に犯されて、身篭ったのがこのあたし。『あいのこ』と蔑む村の連中に我慢できなくなったあたしは、村を飛び出して冒険者になった……。
洞窟(ダンジョン)の奥からとどろくような轟音が響いている。それは、まるで地鳴りのような重低音で規則正しく闇を震わす。足音を忍ばす必要もないほどだ。
しかし、エフィンは注意深く、密やかに歩みを進めた。右手には使い込まれた広刃剣(ブロードソード)が握られている。この洞窟の奥に、9つの隊商と4つの村を襲い残忍暴虐の限りを尽くした恐るべき怪物、牛頭人(ミノタウロス)が隠れ住んでいるのである。膂力は片腕で馬3頭分あり、体格は3m近い。単独で生活し、食性は肉食、特に人肉やエルフを好む。そして、何より財宝を蓄える習性がある! 彼女は、街の古書屋で盗み読んだミノタウロスの特徴を頭の中で反芻した。
もちろん、彼女の力ではミノタウロスを正面切って倒すなどとても不可能である。しかし、奇襲、それも寝込みを襲えば、例えミノタウロスといえど赤子のようにたやすくその首を獲れる。実際、彼女が読んだ伝承にも、ミノタウロスの寝首を掻く話が幾つか紹介されていた。
そして、先ほどから響くこの轟音こそ、ミノタウロスが鳴らす鼾の音なのである。エルフの母から受け継いだ眼は闇を見透かすことが出来る。その眼が、ダンジョンの石畳に寝そべるミノタウロスの丘のような姿、そして、その胴体が規則正しい寝息で上下するのを捉え、エフィンはほくそ笑んだ。ミノタウロスが貯めこんだ財宝、さらにその首に賭けられている懸賞金、この2つを合わせれば一財産である。
剣の柄に左手を添え、ミノタウロスの丸太のような首の付け根に狙いを定める。そして、力いっぱい振り下ろしたその瞬間、エフィンはふっと宙に浮くような感覚を味わい、次の瞬間には腰から地面に激突していた。勢いあまった剣が手からすっぽ抜けて彼女の背後の床で乾いた金属音を立てた。何が起きたか分からず呆然とするエフィンは、頭上を圧する気配に凍りついた。今まで気が付かなかった獣臭がむっと鼻を刺す。地を揺るがす轟音は止んでおり、代りに嵐を思わせる獣の息遣いが闇を満たしていた。エフィンは本能的に飛び退り、床に落ちた剣を拾い上げようとしたが、ミノタウロスの動きはそれよりも早く、彼女の片足を掴み、頭上高く吊り下げた。エフィンの右手は剣の30cmほど上を空しく泳いだ。
ミノタウロスは、激しく鼻息を吹きながら、エフィンが自分の腕から逃れようとあがくさまを眺めていたが、唐突に闇も裂けんばかりの雄叫びをあげた。エフィンの動きがぴたりと止まる。エフィンは恐怖の視線をミノタウロスに向けたが、それは、よりおぞましい恐怖を確認したに過ぎなかった。ミノタウロスの股間にぶら下がる『モノ』が、ゆっくりと屹立していく。獣毛の中からそびえたつそれは、赤ん坊の腕ほどもあり、垢と酸味の混じった悪臭が漂っていた。エフィンは自分の闇を見透かすことの出来る眼を呪った。
彼女の脳裏に、古文書の一節が反響する。
『ミノタウロスの雄は、人間や亜人間の女と交合して子を残す場合がある』
ミノタウロスは、自由な方の腕を伸ばすと、エフィンの身に纏っているものを器用に剥ぎ取り始めた。恐怖に凍りついたエフィンは身じろぎもできない。長靴、鎧、そしてズボン。ズボンを脱がせるために、足を掴んでいるミノタウロスの腕が緩んだときさえエフィンは動くことができなかった。もはや、エフィンが薄いスリップにパンツという裸も同然の格好となっていた。ミノタウロスは、一時、手を止めエフィンの肉体を食い入るように見つめた。そして、彼女の身体をゆっくりと口の方へと持っていく。
「……お、お願い、食べないで……ねえ……な、何でもしていいから…だ、だから」
エフィンは涙混じりの声で必死に哀願する。しかし、ミノタウロスは躊躇せず、エフィンの股間に喰らいついた。
「…ひっっ!!」
ミノタウロスの口腔に生暖かい液体があふれる。エフィンが失禁したのだ。それは顎の隙間から漏れ滴った。ミノタウロスはエフィンの尿を味わうかのように舌を動かした。それは彼女のパンティをずらし、その奥の割れ目を舐めねぶった。さらに、ミノタウロスはエフィンの豊満な乳房にも手を伸ばし、揉みしだき始めた。しばらくするとエフィンの股間は尿とも唾液とも違う粘性の液体で濡れ出し、乳首が固くなり始めた。彼女の精神は、恐怖から逃れるために快楽に溺れるほうを選んだ。両足が自然にミノタウロスの首に巻きつき、自分の秘所をミノタウロスの舌により強く押し付ける。
彼女は目の前に屹立しているミノタウロスの男根に手を伸ばした。彼女は、自ら首を伸ばし、男根の先を咥えこんだ。割れ目や筋に舌を走らせつつ、両腕を使って茎をしごき上げる。
『うまく、イカせられれば、これを自分のあそこに突っ込まれずに済むかもしれない……』
彼女は自分が知る限りの技巧を凝らして、獣人のペニスに奉仕を続ける。闇の中で2匹の獣がお互いの性器をしゃぶり合うペチャペチャという音が響いていたが、先に果てたのはミノタウロスの方だった。びくっびくっとペニスが痙攣して、ぶしゃっ、と音を立ててエフィンの口の中に濃い匂いのする白濁液が放たれる。勢いでエフィンの口から飛び出したペニスは、さらに大量の白濁液を彼女の顔、胸に撒き散らした。
「くぅ、……うぅ」
これで性交しなくすむ、という安堵の思いに胸が満たされたエフィンも軽い絶頂に達した。ミノタウロスはゆっくりと石畳に腰を落した。ミノタウロスの顎から股間を解放されたエフィンの身体は、ずるずるとミノタウロスの胸板を滑り落ち、ミノタウロスの膝に腰を押し付けるような格好で地面にうつ伏せに横たわった。
エフィンは気だるい疲労感に身を委ね、自分が恐ろしい獣人の室にいることも忘れていた。だから、ミノタウロスの腕が彼女のスリップとパンティを力任せに引き裂いたときも、一瞬、何が起きているのか理解できなかった。ミノタウロスはエフィンの尻を抱え上げると、全く萎えていない剛棒を彼女の秘唇に打ちこんだ。
「ぐっ……ぎゃあああああああっ!!」
メリメリッという音がしてミノタウロスの男根がエフィンの中にめり込んでいく。愛液や唾液のぬめりも、圧倒的な体積の前には気休めにしか過ぎない。ミノタウロスはエフィンの尻を抱えこんで、ゆっくりと自分の一物をエフィンの胎内に沈めていく。それが根元まで埋め込まれた時、エフィンの下腹部はまさに丸太を呑んだかのように膨れ上がっていた。
「………っ!!!!!」
あまりの激痛に声も出ないエフィンだったが、地獄はまだ序の幕が上がったに過ぎなかった。獣人が後背位の状態で腰を突き上げ始めたからである。ドスッ、ドスッと重量感のある衝撃がエフィンの腰を貫く。
「ぎっ、……がっ……ひっ……あぐっ……」
全身から脂汗を噴出し、歯を食いしばり、ただ苦痛に耐えるしかない。ミノタウロスは、獣の鼻息をさらに荒くして牝の尻にのしかかる。顎からたれる唾液がエフィンの背中に滴る。
『ブモッ! ……ブモッ! ……ブッフ!、ブッフォォ!』
自分の背後で陵辱に夢中になる獣人を尻目に、あまりの激痛に暗くなっていくエフィンの視界が、キラリと光るものを捉えた。自分が取り落としたブロードソードである。彼女は必死に手を伸ばした。あの剣の柄さえ掴めば、この地獄を終わらせることができる! 自分を犯すことに没頭するミノタウロスの胸板を刺し貫けば、最初の目的を達成できる。よしんば失敗じって、激昂した獣人に引き裂かれても今の生き地獄よりは遥かにましである。
あと少し! 懸命に伸ばす指先は少しづつ剣の柄に近づいていく。そして、まさに剣の柄に指がかかろうとするその瞬間。
『ンモォォォォォ!!!』
「おあああっあああっ!」
ミノタウロスの雄叫びとともに、灼熱の液体が膣内に溢れた。その射精は子宮の壁にまで叩きつけられるような勢いで、あまりのショックにエフィンは絶叫とともに悶絶した。
男根を膣から引き抜いたミノタウロスは、気を失ってもピクッピクッと痙攣するエフィンの身体を冷ややかに見下ろしていた。その股間から血と粘液の混ざったものが止めど無く垂れ出している。ミノタウロスはうつ伏せに横たわるエフィンをひっくり返した。太股が開いて、ぱっくりと開ききった陰唇が剥き出しになる。
「ぐあっ!! ……ががあああああああ!!!!」
裂傷と内出血で腫上がった女陰に押しこまれる焼け火箸の感触にエフィンの意識は叩き起こされた。ぶちゅっ!、ぶちゅっ!と獣の肉棒が下半身を貫く。両腕を押さえこまれ、正上位で犯されるエフィンには何の希望も残っていなかった。
18時間、39回に及ぶ射精のまだ3回目に過ぎない……。
後日談 『災厄の年』 へ続く…
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