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ネズミ小人 (Rat man)
洞窟や地下遺跡、下水道などに生息する獣人族。身長は1mを超えることは無く、通常、50〜100匹程度の群れで生活している。獣人としては珍しく非力であり、人目を避けるように暮らしている。彼らは常時、繁殖が可能で多産でもあることから、どれほど倒しても完全に駆逐するのは難しい。また、種族同士で弱いながらも精神感応できるので、わずかな犠牲で、群れ全体では大抵の危険を回避できる。
普段は、食料をくすねたり壁をかじって穴を開ける程度の悪さしかしないが、稀に雄ばかり殖えてしまい群れのバランスが崩れると、あぶれた雄ばかりが集団で群れから離れ、新天地を求めて移動する。これが『略奪団』と呼ばれる行動で、この行動に駆られたネズミ小人は性格なども一変し、凶暴で貪欲、そして淫虐な魔物と化す。略奪団は、村や街の倉庫を襲い、蓄えられた食い物を食い尽くす。またキャラバンや旅人を襲うこともある。さらに同族では満たされない性欲を解消するために、人間や亜人間の女を手当たり次第犯す。(注1) 人間とネズミ小人の間の交配が上手くいく可能性は本来、非常に低いのだが、略奪団の場合は、数と量、そして回数が桁外れなので、犠牲者が孕む場合が多い。
このような習性を持つことから、辺境では、自分達の居住地域のネズミ小人を退治してくれるよう冒険者に依頼することが多い。『略奪団』以外のネズミ小人は、概して臆病で非力なので蹴散らして追い出すのは造作のないことである。また、精神感応能力があるので、危険を感知すると群れの大部分は逃げのびることができる。
冒険者の中には、ネズミ小人の退治を専門に引き受ける者がいる。これは、ネズミ小人の雌が、ある種の性的嗜好を持つ好事家に非常に高く売れることに起因する。彼らは、巧みにネズミ小人の群れが逃げられないよう、彼らの巣の出入り口を塞ぎ、薬草の煙などを流し込んで群れを根こそぎ殺戮して、雌を捕獲する。 (注2)
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