[ STORY ]
 
 
 
『 生態観察 』    文章:梟    挿絵:雁
 
 
【タカアシミダラグモ】ミダラグモ科 (学名:lacyviousis takanis)
『体長1〜1.2m、主に南米コンゴ盆地に生息。雌雄同体であることが大きな特徴。別の生物の胎内に卵を産み付けるという伝承が和名の由来。……


「き、教授! これはどういうことですか!!」
 
 必死の表情で、冴子は叫びながら、足首に巻かれたベルトを外そうと力の限り、ひっぱたり伸ばしたりしようとする。しかし、皮製のベルトは足首にぴっちりと巻きつけられ抜けそうに無い。ベルトからは細い鎖が伸びていて、近くの樹に打ちこまれた楔の先端に繋がっている。彼女は一糸も纏わぬ全裸であり、それがもがく様は瀕死の蝶のようにも見える。
 彼女の必死の狂態を眺めながら、高野はリュックから撮影用の高感度デジタルカメラとレコーダー、そして愛用の記録ノートを取り出した。デジタルカメラを動画モードにして、冴子の方に構える。カメラのレンズは、冴子の背後にうずくまる奇妙なオブジェクトを捉えた。それは、木の葉や枝、周囲の潅木などが寄せ集められて作られた奇妙な小山だった。実は、これが南米の奇蟲、タカアシミダラグモの巣である。
 
「なんで! なんでですか、教授! なんでこんなことを……」
 
 高野は冷静に答える。
 
「すまないね、冴子君。タカアシミダラグモは巣から5m以内に近づいた獲物に飛び掛る習性があるんだ。この距離以上には近づくことは出来ないが、幸い観察には支障がない」
 
まるで噛み合わない返答に、冴子は激昂した。
 
「誰もそんなことは聞いていません! どうしてこんなひどいことをしたのか、と聞いているんですっ!! それも、こ、こんな格好で……」
 
 自分が全裸であることに思い至り、思わず首筋が赤くなる。必死に胸と股間を隠しながら、高野に背を向ける。
 
「ミダラグモの生態は、いまだその大半が謎に包まれている。僕の研究テーマがその解明だということはよく知っているだろう。君は僕の研究の為にどんな協力でもすると言ってくれたじゃないか」
「そ、それは…」
 
 そういう意味で言ったんじゃない、という言葉が喉の中で凍りつく。巣の一部がゆっくりと押しあがり、巧妙に偽装された入り口から細長い足と黒光りする体毛で覆われた胴体が滑り出す。巣から出てきた蜘蛛はまっすぐ冴子の方を向き、ゆっくりとうずくまった。頭胸部に付いている8つの眼でじっと冴子を見つめる様は、彼女の身体を品定めしているかのようであった。
 どれほどの時間が立っただろうか。冴子が逃げ出そうとしたのは、蜘蛛がまさに獲物に飛び掛ろうとしたそのときである。冴子は必死に走ろうとするが、2mほどしかない鎖に足をとられて転倒する。
 
「いやぁぁ!! 助けてぇっ!! お願いっっ!!!」
 
悲鳴を上げる冴子の背中に蜘蛛がのしかかる。その顎から2本の牙が伸び、彼女のうなじに噛みついた。必死にもがこうとする彼女の動きが止まる。
 
「………あ……あ……」
「心配いらないよ。ミダラグモは2種類の毒を持っている。一つは食餌用の獲物に使われる致死性のタイプ、もう一つは今、君に使われた身体を麻痺させるタイプのものだ」
 
 呆然とした表情の冴子に向かって、レコーダーのスイッチを押しながら、高野は話し掛けた。
 だらりとうつ伏せに横たわる冴子を、蜘蛛は器用に仰向けにする。そして、さらに両肩、乳房、腹部、太股にも牙を突き刺していく。牙は非常に細いものらしく、傷はわずかに血が滲む程度にしかつかない。蜘蛛は、冴子が全く動かなくなったのを確認すると、仰向けの状態の彼女の腰を持ち上げ、両膝を大きく広げさせた。そして、腹部の先端から糸を吐き出して、彼女の肉体に器用に絡めていく。ものの10分足らずのうちに、冴子は蜘蛛の糸によって、いわゆるまんぐり返しの状態に固定されてしまった。そのころには、彼女の身体には別の変化が起きていた。
 全身はほんのり桜色に染まり、呼吸が荒い。蜘蛛の胴体や脚が皮膚をかすめただけで、あっ、と声を漏らす。
 
「ミダラグモの毒には、動物の発情を促す成分が含まれているんだ。しかし、驚いたね。まさか、人間にも効果があるなんて。これは凄い発見だよ」
 
 高野は夢中で記録用ノートにメモを取る。
 蜘蛛は、冴子の身体に覆い被さり、腹部の先端を彼女の秘裂に押しあてる。すると、その先端から、柔らかい突起状の器官が伸びて、びちょびちょに濡れている花弁にもぐりこんだ。
 
「ひぃ!!…あ、あ、あ、いやっ!! ああ……うっ、うっ、やめっ、あぅ!!」
 
 突起状の器官は、冴子の秘裂を舐めまわし、陰核を吸い上げる。冴子は涙を流し、かすかに首をいやいやするように振る。愛する男の前ではしたない姿をさらし、その上、このような怪物の愛撫に感じてしまう自分があまりに恥ずかしく情けなかった。しかし、冴子の感情とはまったく関係無く、彼女の花弁は絶え間無く蜜を溢れさせ、それは下腹部から臍にまで滴り落ちた。
 蜘蛛は、冴子の秘唇が充分に濡れ、開ききったのを確認すると、突起を引っ込め、今度は鋭い管状の器官を伸ばした。そして、慎重に狙いを定めて、彼女の膣口に深く、深く挿入していく。自分の子宮の奥に何かが植付けられるおぞましい感触に冴子は、ひっ、と悲鳴を上げた。
 
「分かってると思うけど、今、ミダラグモの腹部から伸びているのが産卵管だ。ミダラグモの産卵シーンは世界初だよ。君と僕は、すばらしいシーンを目撃しているんだ」
 
 高野の声も、興奮からか、かすかにうわずっている。
 ミダラグモの産卵は一時間以上続いた。その間、冴子の荒い息遣いと時折漏れる喘ぎ、そしてレコーダのかすかな回転音のみが密林に響いた。ぬちゃっ、と音を立てて産卵管が引き抜かれると、冴子は、あぁっ、と声を漏らした。彼女の陰唇は真っ赤に充血し、乳首は痛いほど勃起している。蜘蛛は、産卵管を腹部にしまうと、また別の器官を伸ばした。それは、最初の突起状の器官をやや似ているがより大きく、より硬質であり、先端には雁首状のふくらみを備えていた。その、あまりに人間のペニスによく似た形状の器官が、自分に何をするつもりなのかを悟った冴子は、今度こそ本当に絶叫した。蜘蛛は、ぱっくりと開いた膣口に自分の雄性生殖器を捻じ込んでいく。根元までしっかり突き込み、その先端が子宮口まで届くのを確認すると、蜘蛛は腹部を前後させ始めた。彼女は、腰から波状的に襲い来る快感の波を歯を食いしばって耐えた。気を抜くとイッてしまいそうになるのを必死にこらえる。その様子を観察しながら、高野は言った。
 
「冴子君、気にすることは無い。これは、ミダラグモの毒による一時的な反応だ。仕方の無いことだよ。君がふしだらで淫乱な女性ではないことは僕が一番よく知っている」
 
冴子は、首をまわし、高野を見た。その顔は、涙とよだれでぐしょぐしょに濡れている。
 
「…本当? 本当ですか、教授……?」
 
 高野はにっこりと笑いうなずく。
 
「本当、本当ね…蟲に犯されてイッちゃう私を見ても…嫌いに…嫌いにならないでね……ひぅっ…あ、あはぁっ…い、いい…いいの……気持ちいいのぉぉぉ……」  
 蜘蛛がペニスをぐちょっ、ぐちょっ、と突き立てると、愛液が飛沫となって飛び散る。箍の外れた冴子は、もはや何はばかることなく、蜘蛛のピストンが与える刺激に腰を震わせる。
「ひ、ひぃっ!……くうぅっ!……あひぃっ!……ああぉっ!……あはっ、あ、あ、イく、イく、イくぅぅぅぅ!!!」
 
冴子はついに絶頂に達し、彼女の秘肉は蜘蛛の生殖器を強く食い締めた。それに応じて蜘蛛も腹部を痙攣させて射精する。子宮の奥に植付けられた大量の卵に満遍なく精液が振りかけられた。蜘蛛は腹を二、三度ゆすって、最後の一滴まで冴子の奥に吐き出す。膣口を上向きにされているので、蜘蛛がペニスを引き抜いても、精液はほとんど零れ落ちなかった。
 
「凄い!……凄いぞ!……素晴らしい記録だ。生みつけられた卵は2週間で孵化するはず。ミダラグモの隠された生態の大きな部分が明らかになる……!!」
 
デジタルカメラを構え、少しでも克明に記録しようと、知らず知らずのうちに高野は数歩踏み込んでいた。それが、ミダラグモの襲撃圏内に入りこんでいることも気付かずに……。
 カメラのファインダから、ふっとミダラグモの姿が掻き消えたとき、高野は自分の過ちに気が付いた。
 
「し、しまっ……!!!」
 
 高野に飛びかかったミダラグモは、その首筋に鋭い牙を突き立て致死性の方の毒を送りこんだ。高野の顔が見る見る青黒く染まり、断末魔の苦鳴をあげながら地面に倒れ伏す。死の痙攣に震える高野の身体を、蜘蛛は自分の巣穴に引き摺りこんだ。
 静寂が戻った密林に、欲情した女の声が木霊する。
 
「はぁ…はぁ…お、お願い…もっと…もっと頂戴っ……もっと…もっと冴子のあそこをぐちょぐちょに突いてぇ……足りない、足りないよぉ……あは、あ、ああっ…犯して、犯してぇぇぇ」


……孵化した幼生は腹を借りた犠牲者の中身を食べて成長するといわれている。』
(世界クモ類図鑑、第4巻南米編、p236)
 
 

 
梟様がイラストにストーリーをつけてくださいました。 今回は学問の発達のために尊い犠牲となった学者とその助手の、哀しくも淫らなラブストーリです。 なかでも助手自ら身を挺して囮になるシーンなど涙無くしては語れません(ホロリ)

ちなみに教授はこの生き物にいただかれてしまったわけですが、 クモは獲物の体内に消化液を注入して溶かしてジュルジュル吸います。 もちろん教授も例に漏れずジュルジュルされたことでしょう。 で、問題はどこから注入されたのかなという……(ニヤリ)

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