[ STORY ]
 
 
 
『 種付け姫〜悪戯の代価 』 その二   
               文章:梟    挿絵:雁
 
 
 街道を外れて、もう1時間以上たっている。人気は全く無かった。森の木々はどれも樹齢百年から数百年の巨木であり、まるで自分達が小人になったか、はたまた巨人の国に迷いこんだような心地がする。城からほとんど出ることがないアンリエッタとノーリは、この小さな冒険行を楽しみ始めていた。
 急に森が開けた。そこは、森の形作る緑の天蓋にぽっかりと穴が開いていて、広大な城郭の中庭を思わせた。目の前には小さな泉が広がっている。真上から差し込む陽光が水面に反射して薄暗い森をそこだけ明るく照らしている。
 
「少し……少し、休憩しましょう」
 
 目の前に広がる神秘的な光景に陶然としていたノーリは姫の言葉に我に返った。泉の淵にたたずむアンリエッタの手袋に恭しく手をかけ、そっと脱がす。姫の着衣は、全て侍女の手によって着脱されるのである。
 
「ドレスも脱がして頂戴。水浴びしたいの」
 
 姫の花嫁衣裳を全て脱がすには20分以上かかった。ノーリは、最後に外した姫の下履きを丁寧に畳む。全裸のアンリエッタは、そっと泉に足を浸した。暑苦しい衣装を身に纏って駆けるように森を歩いたので、泉の冷たい水が心地よかった。髪をぬらさないよう、そっと手で持ち上げながら胸まで浸かる。
 
「……気持ちいい……ノーリ、あなたもお入りなさい」
「わ、私もですか……は、はい、ただいま」
 
 ノーリはいそいそと着衣を脱いだが、恥ずかしそうに胸と陰部を隠しながらそろりそろりと入っていく。ちなみに、王族や貴族の娘は裸を見られることにあまり羞恥を感じない。なぜなら、着替え・入浴など、全ての面で誰かに奉仕されながら行うので、他人の目など空気ほどにしか感じないようになってしまうのである。アンリエッタもその例外ではない
 ノーリは、女主人の傍に寄って、腰や肩を丹念にマッサージする。そのうち、ノーリの細い指先による愛撫は、次第に胸や股間にも伸び始め、年の割りに豊かな胸や若草のような茂みの下の固い割れ目を優しく揉みほぐす。これは王宮でも二人の間で密かに行われていたささやかな「遊戯」だった。しばらくすると、アンリエッタの頬はうっすらと上気し、その表情には明らかな快楽の色が浮かび始めた。姫は、もはやノーリに全身を預け、彼女のされるままになっている。ノーリの愛撫も徐々に大胆なものになっていた。その指先は姫の乳首を優しく摘み上げこね回し、また下の割れ目の中に潜り込んでもっとも敏感な芽をこすり上げる。ノーリは、姫の陰部を弄る指先にぬるぬるした感触を感じると、さらに指を割れ目の奥で息づく狭い入り口にもぐりこませた。姫は、ひっ、と声を漏らして身体をこわばらした。
 それから、どれほどの時が経ったか。2人の秘密の時間にも終わりが訪れた。姫は一声、くぅっ、とうめき、膣の中に滑りこませていたノーリの指が2、3度、きゅっ、きゅっと強く締め付けられた。
 
「姫様ぁ……御気をやられあそばしたのですねぇ……」
 
 ノーリの言葉に、アンリエッタは恥ずかしそうにうなずく。裸を見られるのは、まったく平気なのだが、下半身を走るこの不思議な快感と、それを貪る自分の姿を見られるのはなぜか恥ずかしかった。だから、この奉仕をすることを許されているのはノーリだけであり、姫は自分の痴態の全てをノーリにだけはさらけ出した。
 二人の娘は、下履きとスリーブだけを身に付け泉のほとりの下草の上に寝そべった。アンリエッタは、日焼けを避けるため手袋とストッキングだけは身に着ける。うららかな陽気と先ほどの「遊戯」の心地よい疲労が、二人を眠りに引きこむまで長い時間はかからなかった……。
 
 
「起きてください、姫様! 起きてくださいってば!!」
 
 強くゆすられて、アンリエッタは目を覚ました。一瞬、自分がどこにいるのか分からなかった。すぐに、自分達が輿入れ行列から抜け出したことを思い出し、はっ、とする。日はすでにとっぷりと暮れ、さえずっていた小鳥の声も聞こえない。
 
「大変!」
 
 アンリエッタは大慌てで立ち上がり、ノーリは彼女の花嫁衣裳のうち、最初に身に付けなければならないベチコートを広げて、姫の腰に巻き付けた。ああ、また長い時間をかけてこの衣装を身に着けなければならないのか…これだと侍女長はかんかんだろうな…今日の夕食はなんの予定だっただろうか…、取りとめも無いことを考えていたアンリエッタは、ノーリの手が最初のベチコートのボタンを留めるところで止まっていることに気が付いた。
 何をぐずぐずしている、と叱りつけようとしたアンリエッタは、ノーリが彼女の背後を恐怖の表情で凝視していることに気が付いた。不審に思い、後ろを振り返ったアンリエッタの眼に飛びこんできたのは、8つの緑色に光る点を持つ大きな赤黒い塊だった。それがなめした革のような外皮に包まれた不恰好な胴体と四肢を持つ生き物であり、8つの光点がそいつの目玉であることを理解するのにしばらく時間がかかった。
 静かだった森が物音に満ちる。下草を這い回るガサガサという音、何かが泉を泳ぐバチャバチャという音。そして『ギョウッ、ギョウッ』という不気味な鳴き声。日が沈み、深くなった森の闇に幾つもの緑の光点が現れる。アンリエッタのベチコートがパサリと地面に落ち、失神したノーリが崩れ落ちるドサッという音が続く。彼女達は、いつのまにか奇怪な怪獣達に取り囲まれていたのである。
 
『とても逃げられない』
 
 気丈で怖いもの知らずのアンリエッタといえど自分がどうしようもない窮地に陥ったことは感じずにはいられなかった。ゆっくりと自分に近づいてくる怪獣達の気配を感じながら、アンリエッタは失神したノーリに取りすがって観念の眼を閉じた……。


 
続く…
 
 

 
 
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